メディア掲載 2013/11/15 シニア応援マガジン/ゴールデンライフに弊社社長のインタビューが掲載されました!

 

人生の集大成は60歳を超えてから

76歳での起業は自分を含めた高齢者の健康のために

―溝渕さんはオートバイ産業の盛んな浜松の黄金時代をご存知です。

私は43歳の時に台湾に渡って17年ほどオートバイの製造に関わっていましたが、台湾に渡るまでは浜松にある会社でオートバイをつくっていました。ほら、浜松はオートバイ産業が盛んでしょ。ホンダもヤマハもスズキもみな浜松がスタートです。当時はオートバイをつくっている会社だけで30社はありましたから一大産業でしたよ。

―開発に携わった「ライラック号」は今も愛好家がいると聞きます。

1961年に製造終了となりましたが、大切に手入れして走らせている方もいらっしゃるくらい、皆さんに愛してもらったオートバイです。今も年に1回「ライラック友の会」という集まりを開いていますが、今も全国各地から愛好家が集まってくれます。

―技術者であった溝渕さんが、どうして起業することになったのでしょうか。

「ライラック号」の製造元であった勤め先が倒産し、仕事のお誘いがあったので台湾に渡りました。なぜ台湾にと周囲には反対されましたが、オートバイづくりに関わりたいという思いが強かったんですね。還暦を迎えたのを機に帰国して知人の会社で10年ほど働きまして、気が付くと76歳になっていました。
今までは雇われる側でしたが、そろそろ自分が雇う側になってもいいなと思いましてね。じゃあ起業してなにをするかと考えた時に、自分もこれから年を取るし、健康に役立つものをやったらどうだろうかと思いつきました。当時の私は好きなゴルフに行っても足がつったりしていたので、自分にも役立つものがいいと思いました。

―起業はご自身のためでもあると。

周囲に健康に悩んでいる人も多かったですしね。台湾にいた頃は若かったこともあり、徹夜で働けば徹夜で遊ぶとやりたい放題。そかも狭心症を患っていました。日本に帰ってきて病院に行ったらすぐに精密検査で手術した方がいいなんて言われるほどでした。その後もいろいろな病気に罹り、人様以上に病気は経験しましたから思いは強かったです。
室内でも小回りのきくように大小合わせて6個の車輪をつけた車椅子や、水圧式で低コストな入浴リフトなどを開発して販売していました。そうこうしている時に、知人のお医者様から運動器具を開発したいと相談されたんです。

 

自分の体で試してみる そして改善を繰り返して

―そして開発したのが「イージ・ウォーク」ですね。

「イージ・ウォーク」は、座ったままでも足を載せるだけで、自動で足首の関節を動かすことができます。血流が良くなればむくみは解消されますよね。すぐに試作品をつくり、協力をお願いした施設で80歳以上の入居者の方にモニターを実施しました。その中に92歳の女性がいたのですが、その女性はそれまで立って歩けなかったのに。「イージ・ウォーク」を使って焼く10日後には立てるようになったと言うんです。
足のむくみを取るために器具を開発したのに、それ以上の効果があるかも知れないと思いはじめました。さらには、その女性の担当医が、認知症でなにを言っても返事をしなかったのに私と会話していると非常に驚いていて、意外な効果に私自身もびっくりしました。

―心までお元気になられたのでしょうか。

心への効果がどの程度のものかはわかりませんが、研究機関で血流がどれほど上がるかなどの効果測定をしてもらい数字的な立証を取りながら、自分の体で実験を重ねました。当時の私は自宅の2階まで階段で上がれなくなっていました。
でも「イージ・ウォーク」を使うようになってから、すいすいと上がれるようになって嬉しかったですね。誰しも運動をしなさいと言われると面倒に感じますが、これは頑張る必要がない。テレビを見ながらでも使ってもらえるところがいいと思っています。

―その通りですね。

福祉関係者と話していても、特に若い人だと効果がピンとこない。人の体のことだから教科書通りに教わっても理解できないことが多いし、まず若い人たちは高齢者になったことがないので私たちの気持ちや体の変化がわからない。
私が高齢者だからこそ高齢者の悩みがわかるし、解決策も自分に重ねることでわかってくる。たとえば高齢者は急に運動して筋肉痛になったら逆効果で、適度な運動量が求められます。その適度がどの程度のことなのかは自分で試すとよくわかります。それが弊社の商品には反映されているから、使って頂けるのかなと思っています。

 

ラッキーだらけの人生だった そう思える幸せ

―やみくもに体を動かせばいいというわけではありませんからね。

継続して行える適度な運動は何かと考えたら歩くのが一番なんです。歩くことで下半身を鍛えれば寝たきりも防止できますから。ですが家の中で歩ける距離はしれているし、1人で散歩に出かけるには不安がある。ならば家の中で歩くためにルームランナーを検討するのだけど、一般的なルームランナーは健康な人のためにできているから、足腰の弱い人だと、例えば停止ボタンを押す時に体のバランスが崩れたりして怖いんですよ。
私も数年前に手術を受け、歩行のリハビリにとルームランナーを検討しましたが、安心して使えるものがなかったので「エルダーウォーク」を開発しました。毎日少しずつでいいから体を動かさないと筋力は衰える一方です。継続できる運動が大事なんです。

―溝渕さんにそう言われると説得力があります。

運動だけでなく、その人の生き方も同じですよ。年というのはその人の日々の生き方によってずいぶんと変わってきます。その時その時をちゃんと大切にできる人でなければ、実りある年の取り方はできないでしょう。それに、その人が持っている運もあって私は本当に運がいいと思っています。もう私の人生はラッキーなことだらけですよ。もちろん、いいことばかりではありませんでした。6個の車輪がついた車椅子をつくった時に詐欺にあって200台近くを持って行かれたりね。それでも不思議となげやりなきいもちにはならない。また一からスタートすればいいと思うだけです。

―前向きですね。

次に開発したいものもありますし、まだまだこれからだた思っています。60歳超えてからですよ、自分の仕事がのってきたというのか、いい仕事ができるようになったなと思えたのは。今までの技術の蓄積があるでしょ。だからそのすべてを投じて本当にいい仕事ができるのはこれからなんです。そのためには自分の開発した商品で健康維持を心掛けなければと思っています。